「タオル、持って来たよ!」
「ありがと。そこ、置いといてもらえる? …日向ちゃん、ちょっと失礼するわね」

そう言いながら、先輩は私のパンツを脱がし始めた。ということはきっと、体が出てくるのも間もなくということだろう。

「救急車はあと十分ほどで来るらしい」
「ありがとうございます、天保さん」
「なあ…」

一夜くんが心配そうな顔で呟く。

「俺は…?」
「えっ…?」
「俺は…何してたら…?」

一夜くんには、仕事が割り振られていない。その現状が、一夜くんにはまるで、自分の気持ちが無力であるように感じられて、辛かったんだろう。

「一夜は…」

再び、先輩が口をつぐむ。だけど今度は、再び口を開くのにあまり時間は要しなかった。

「一夜は…日向ちゃんの傍にいてあげて。傍にいるだけで…きっと、日向ちゃんには何よりの助けになると思う」
「…分かった」

といっても、一夜くんはすでに私のすぐ傍にいた。だけど、一夜くんはもっと傍に来て、私の手を握ってくれた。

「…一夜くん…」
「大丈夫か、日向?」
「うん、大丈夫大丈夫…うっ…!」
「日向!」

一夜くんの手の力が、私が痛みを声に出すたびに強くなる。

…それが何度か続いて、その時はやって来たのだった…。