…月日は流れ、明くる年の三月某日。

「ただいま~」

ドアが開き、一夜くんの声が部屋に聞こえる。

「あっ、帰って来た…」
「日向ちゃん、早く準備して」

電気はついていないが、先輩が手招きをするのがかすかに見えた。足音を立てないように、先輩の傍に寄る。

「鵜児くん、準備できてる?」
「大丈夫」
「天保さんは?」
「問題ない」
「…何だ、誰もいないのか…」

呟きが、ドア越しに耳に入る。

「とりあえずゆっくりするか…」

そう言って、一夜くんは部屋の電気をつけた。…今だ。

「ひゃっ! …眩しい…!」

だけど、その紐を引く前に、いきなりの電気に目がくらみ、思わず声が出てしまった。

「…日向?」

それだけじゃない。ギリギリしゃがんでいただけだったため、腕で光を遮ろうとした時に転んでしまい…。

「痛っ…!」

肩の上辺りの台に置かれていた塩が、私の太ももを直撃した。

「…何だ?」

しかも最悪のタイミングで、私のものも含めたクラッカーのひもが引かれ、明るい爆発音が響いた。