お菓子作りをする様になったのは、友達が離れていって寂しさを紛らわす為だった。


きっかけはそれだったけど、今は純粋にお菓子作りが好きで時間があれば作っている。



「マジで上手いよ。」

「そっか……良かった。 ありがとう。」

「何で涼宮が礼言うんだよ。」

「分かんないけど、嬉しかったからお礼言いたくなった。」

「お前さ……。」



何か言いかけたと思ったら何も言わなくなってしまった。


首を傾げると「何でもない。」と言って桐生君は私の膝の上に頭を載せ、ゴロンと寝転がった。



「また何か作って。」

「いいけど……好き嫌いは?」

「ない。」

「分かった。」



気持ちよさそうに目を瞑っている桐生君の頭を撫でた。


眠っていると思っていたらまだ起きていて「お前の手、落ち着く……。」と言われてドキッとした。


「私も落ち着くんだよ。」とは言わずに、暫く頭を撫でていた。