私、新木凛は1995年の春に関西に生まれた。

この年の1月17日には阪神淡路大震災が起こっている。母は私をお腹の中に抱えながら3歳上の兄に覆い被さって、私たちを守ってくれたそう。

父は3人兄弟の長男で、私たちは父方の祖父母と同居していた。といっても、私が物心つく頃には祖父母の家のすぐ隣りに、父、母、兄、私で住む家を建て大半をそちらの家で過ごしていた。朝昼晩のご飯のときは祖父母の家で母が料理を作り食べていた。

父はサラリーマン、母は専業主婦、いたって普通の家庭だった。強いて言うなら、兄は幼い頃からずる賢く理不尽な子どもだった。一方、私は行き過ぎなくらい真面目な子どもだった。