カナちゃんとの帰り道。
カナちゃんは彼氏に呼び出されて、そっちへ行ってしまった。
「あ~あ。こんなことなら、沙織里ちゃんとも一緒に帰ったらよかったかなぁ。」
私が独り言を言っていた時、向こうの歩道を見ると、雪間くんの姿が目に入った。
でも、一人じゃない。
女の子も一緒だった。
(…何だ、彼女いてるんじゃない。それなら、別に私に構わなくたって……。)
そう思ったが、よくよく見れば、女の子は美少女だが、桜蘭中学校の制服を着ていた。
(あれ?あの女の子、中学生?ってことは、彼女じゃないのかな?もしかして、雪間くんの妹さんかな?)
私がそんなことをぼんやりと考えていた時、当の雪間くんとバチッと目が合ってしまった。
(ヤバい……。)
私がそう思ったが、時すでに遅し。
雪間くんが、その女の子を連れだって、こちら側に渡ってきた。
「おい、一人かよ?彼氏もいず、一人寂しく帰るのか?」
まるで、私が彼氏もいてない、寂しそうな女のような感じに受け取れる、皮肉めいた口調で、そう言った。
私は、カチンッときて、
「別に一人でもいいでしょ?雪間くんは、可愛い彼女連れて、結構な身分ですこと。」
私も少し皮肉めいた口調でそう言った。
「彼女って、萌絵のことか?こいつは彼女じゃねぇよ。萌絵は瑠璃さんの『妹』だよ。」
(ええっ!?この子、瑠璃センパイの妹さんだったの?)
私が驚いていると、
「はじめまして。私は浅葱萌絵【あさぎもえ】です。よろしくお願いします。」
そう丁寧に言うと、その萌絵と名乗った女の子は、深々とお辞儀をした。
私は、それに急いで習い、
「私、紅林結です。こちらこそ、よろしくお願いします。」
ペコリと頭を下げて、そう言った。
だが、私の名前を聞くと、萌絵という女の子は、ジッと私の顔を見るなり、いきなり睨み付けてきた。
(えっ!?…なっ…何!?何で、私、この子に睨み付けられてるの?)
私が、ワケが分からずにいると、
「梶くん、この人が、『例の結さん』なの?」
萌絵という女の子は、私から視線をそらし、雪間くんを見て、そう確認するように聞いていた。
「そうだよ。こいつが『結』だよ。」
雪間くんがそう返事をすると、萌絵という女の子は、もう一度、上から下まで、私を品定めするように見つめると、
「『結さん』って、話に聞いてたのとは、全然、違うんですね?」
そう言うなり、あからさまに憮然とした表情になると、プイッとそっぽを向いた。
(…なっ、何!?この子!?さっきと全然、態度が違うじゃない?)
私は、その態度の豹変ぶりに、少し頭にきていた。
そんな私と、萌絵という女の子の態度を、見ていた雪間くんは、ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべ、
「お前、結のこと、『大嫌い』だもんな。」
さも、可笑しそうにそう言うと、クスクスッと笑った。
萌絵という女の子は、あれから、私を一度も見ようとせず、その横顔は、心底、嫌そうな顔をしていた。
私は、最初は何で、『初めて会った女の子』に『大嫌い』と思われているのか、分からなかったが、思い当たるとすれば……。
(この子、ひょっとして、雪間くんのことが『好き』なのかな?)
私は、一人、そう思っていた。
だが、それは、私のまったくの思い過ごしだと知るのは、もう少し後。
萌絵という女の子が、本当に『好きな人』は、雪間くんではなく、『別の人』だった。
カナちゃんは彼氏に呼び出されて、そっちへ行ってしまった。
「あ~あ。こんなことなら、沙織里ちゃんとも一緒に帰ったらよかったかなぁ。」
私が独り言を言っていた時、向こうの歩道を見ると、雪間くんの姿が目に入った。
でも、一人じゃない。
女の子も一緒だった。
(…何だ、彼女いてるんじゃない。それなら、別に私に構わなくたって……。)
そう思ったが、よくよく見れば、女の子は美少女だが、桜蘭中学校の制服を着ていた。
(あれ?あの女の子、中学生?ってことは、彼女じゃないのかな?もしかして、雪間くんの妹さんかな?)
私がそんなことをぼんやりと考えていた時、当の雪間くんとバチッと目が合ってしまった。
(ヤバい……。)
私がそう思ったが、時すでに遅し。
雪間くんが、その女の子を連れだって、こちら側に渡ってきた。
「おい、一人かよ?彼氏もいず、一人寂しく帰るのか?」
まるで、私が彼氏もいてない、寂しそうな女のような感じに受け取れる、皮肉めいた口調で、そう言った。
私は、カチンッときて、
「別に一人でもいいでしょ?雪間くんは、可愛い彼女連れて、結構な身分ですこと。」
私も少し皮肉めいた口調でそう言った。
「彼女って、萌絵のことか?こいつは彼女じゃねぇよ。萌絵は瑠璃さんの『妹』だよ。」
(ええっ!?この子、瑠璃センパイの妹さんだったの?)
私が驚いていると、
「はじめまして。私は浅葱萌絵【あさぎもえ】です。よろしくお願いします。」
そう丁寧に言うと、その萌絵と名乗った女の子は、深々とお辞儀をした。
私は、それに急いで習い、
「私、紅林結です。こちらこそ、よろしくお願いします。」
ペコリと頭を下げて、そう言った。
だが、私の名前を聞くと、萌絵という女の子は、ジッと私の顔を見るなり、いきなり睨み付けてきた。
(えっ!?…なっ…何!?何で、私、この子に睨み付けられてるの?)
私が、ワケが分からずにいると、
「梶くん、この人が、『例の結さん』なの?」
萌絵という女の子は、私から視線をそらし、雪間くんを見て、そう確認するように聞いていた。
「そうだよ。こいつが『結』だよ。」
雪間くんがそう返事をすると、萌絵という女の子は、もう一度、上から下まで、私を品定めするように見つめると、
「『結さん』って、話に聞いてたのとは、全然、違うんですね?」
そう言うなり、あからさまに憮然とした表情になると、プイッとそっぽを向いた。
(…なっ、何!?この子!?さっきと全然、態度が違うじゃない?)
私は、その態度の豹変ぶりに、少し頭にきていた。
そんな私と、萌絵という女の子の態度を、見ていた雪間くんは、ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべ、
「お前、結のこと、『大嫌い』だもんな。」
さも、可笑しそうにそう言うと、クスクスッと笑った。
萌絵という女の子は、あれから、私を一度も見ようとせず、その横顔は、心底、嫌そうな顔をしていた。
私は、最初は何で、『初めて会った女の子』に『大嫌い』と思われているのか、分からなかったが、思い当たるとすれば……。
(この子、ひょっとして、雪間くんのことが『好き』なのかな?)
私は、一人、そう思っていた。
だが、それは、私のまったくの思い過ごしだと知るのは、もう少し後。
萌絵という女の子が、本当に『好きな人』は、雪間くんではなく、『別の人』だった。