蒼への気持ちを『自覚』してしまった私。

これから、どっ、どうしよう?
蒼と、どう接していいのか分からない私。

今日も、蒼と一緒に登校してるけど、マトモに顔が見れない。

ドキンッ!!ドキンッ!!ドキンッ!!ドキンッ!!

胸の鼓動が速い。

おっ、おさまれ!!

この『気持ち』、蒼にバレちゃうよ!!

私の気持ちを知ってか知らずか、蒼はまた、ニヤリと笑って、イジワルく言った。

「結。何か、顔が赤いぞ。」

ドキンッ!!

「べっ、別に赤くなんかないよ!!私、やっぱり、先に行ってるね!!」

そう言うと、私は、蒼から逃げるように、先に学校への道を急いで走って行ってしまった。


「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、ハァ!!」

さすがに全力疾走は辛かった。

なっ、何やってるんだろう、私。

蒼から逃げてきて‥‥‥‥。

これじゃ、明らかに『意識』してますって言ってるようなものだ。

はっ、恥ずかしい‥‥‥‥。

私がそう思っていた時だった。

「何だよ!?お前、『シロ』って言うのか!?真っ黒だから、分かんなかったぜ!?」

こっ、この『声』は、『雪間くん』だ。

私がそっと覗くと、やっぱり、雪間くんがいた。

ミャーッ。

か細い声で鳴いているのは、仔猫だ。

雪間くんは、その『仔猫』を持って見つめていた。

仔猫は、雪間くんに向かって、何度もか細い声で鳴いた。

すると、雪間くんは、私が見たことがないような切ない表情をした。

そして、仔猫をその『胸の中』にそっと抱くと、

「‥‥分かった。分かったって‥‥‥‥。」

そう呟いた。

雪間くんは、その『仔猫』を抱きしめ、私とは『反対方向』へ歩いて行った。

いつもの『イジワル』な『雪間くん』とは、『違う顔』。

私は、妙に気になってしまった。

その日、結局、雪間くんは学校に来なかった。

そして、それから、一週間もの間、雪間くんは学校を休んでいた。

雪間くん、一体、どうしたんだろう!?

私は、ますます気になってしまった。

明日、中臣くんに聞いて見ようか!?

私は、そんなことを考えていた。

その時、私は気づかずにいた。

蒼が、そんな私をジッと見つめていることに‥‥‥‥。