ずっと高ちゃんのことが好きだった私。

それが、今は、蒼のことを考えてしまっている。

私、一体、どうしたんだろう?

わけの分からない不安な気持ちが押し寄せる。

でも、一度、自覚してしまった『想い』を、そう簡単に消せるはずもなく、数日が過ぎた。

そして、今度は、意外な『形』で、自分の気持ちを自覚させられることとなる。


私はある日、同級生の男の子に、呼び出されていた。

「紅林結さん、俺と付き合ってくれませんか!?」

え!?

私、『告白』されてるの?

うっ、ウソでしょう?

その時、ガサッと茂みから、人影が現れた。

その人物は、『蒼』だった。

蒼は、私と男の子を見て、状況を察したらしい。

何も言わず、その場を立ち去ってしまった。

ズキンッ!!

私は胸の奥が傷んだ。

蒼、どうして、何も言わないで行ってしまったの!?

その時、私に告白してくれた男の子は、

「紅林さん、大丈夫?」

心配そうに尋ねてくる。

「えっ!?」

私は、男の子にそう言われて、初めて、自分が涙を流していることに気が付いた。

「あっ、あれ!?私、なっ、何で、涙なんか‥‥‥‥。」

でも、溢れ出てくる涙が止まることはなかった。

どうして!?

私、泣いてるの!?

そこで、初めて気が付いた。

私、蒼が何か言ってくれるのを待ってた?

そして、確信してしまった。

私、『蒼』のことが『好き』!!

自覚した途端、顔が赤くなるのを感じた。

その後、その男の子には、『ごめんなさい!!』と言い、私は家に帰った。