「浅葱先輩、一目惚れしました!僕と付きあって下さい!」

と、頬を紅潮させて、私に告白している、1年生の可愛らしい少年。

まぁ、確かに『顔』は『合格点』だが、いかんせん、私より背が低い。

『イイ男』というよりも、『かわいい弟』みたいな感じに思ってしまう。

(こりゃ、ダメだ。)

私は、そう思った。

第一、私の『好みのタイプ』には、ほど遠すぎる。

私がすぐさま、断ろうとしたその時だった。

「危ない!!」

少年がそう言うと、どこからか、野球のボールが飛んできた。

少年が私に、覆い被さるように倒れてきた。

そして、その手には、野球のボールが握られていた。

すると、少年は、今までの顔つきとは全く違う『厳しい顔』で、周囲を見渡すと、私にニコッと笑いかけて、

「浅葱先輩、もう『大丈夫』ですよ。」

と、言った。

そして、私に覆い被さっているのを、今頃、気づいたのか、顔を真っ赤にして、慌てて離れると、

「すみません。」

そう謝ってきた。

かわいいなぁ。

私は、自然とそう思っていた。

そして、私は、『お礼』を言わなくてはと思い、

「助けてくれて、ありがとう!」

そう笑顔で、言ったのだ。

少年は、ジッと私の顔を見るなり、私の左手を勢いよく引き、頭を引き寄せると、いきなりキスをしてきた。

すぐにお互いの唇は離れたが、私は、呆然実質状態‥‥‥‥‥。

すると、一瞬、少年は、その可愛らしい顔に似合わないような、イジワルな笑みを浮かべた。

そして、すぐにニコッと、可愛らしい笑みに戻り、こう言った。

「僕、浅葱先輩のこと、やっぱり、諦められません!覚悟しといて下さい!」

そう宣言するなり、私の前から、足速に立ち去って行った。

私は、なぜか、少年が言った『覚悟しといて下さい!』の言葉に不安になりながらも、まだ、その場に立ちつくしていた。 

そういえば、その告白してくれた、1年生の少年は、自分の名前を名乗らなかったなぁ。

ふと、そんなことを考えながら‥‥‥‥‥。