「蒼!?何してるの?」

私の部屋に勝手に入っていた蒼に、びっくりして、私はそう言った。

蒼は、雑誌片手に私のほうへ視線を向けると、

「おばさんが、勝手に上がっておけってさ。」

そう言った。

そして、また雑誌のほうへ視線を戻すと、

「ふうん。結って、こんな雑誌を読んでるんだ?」

蒼は、なるほどっといった様子で、呟いた。 

それは、『初心者向けの恋愛雑誌』だった。

私は、恥ずかしさのあまり、顔を真っ赤にして、蒼から雑誌をひったくると、

「勝手に読まないでよ!」

そう怒鳴った。

すると、蒼は椅子から立ち上がると、私の真正面に立ち、イジワルく、こう言った。

「本当のキス、教えてやろうか?」

「えっ!?」

私が驚く暇もなく、蒼は、私の両腕を掴むと、口づけてきた。

「!?‥んっ‥‥‥‥。」

いきなりのキスだったけど、雪間くんの時とは、『何かが違うキス』。

熱いのは同じだけど、何か、蒼にキスされていると、身体の奥がジンジンとする。

私は、なぜか、蒼からのキスを拒めなかった。

いや、拒むことができなかったのだ。

なぜ?

雪間くんとのキスは、抵抗し、拒絶したのに‥‥‥‥。

そして、昔とは違う、蒼の力強い大きな手と肩と胸板。

私はそう思うと、なぜか、胸がドキドキしてきた。

私は、高ちゃんのことが好きなはずなのに‥‥‥‥。

ワケの分からない感情が、私の中で渦巻く。

私、一体どうしたんだろう?