結と子猫を助けるために、下じきになった俺。

「雪間くん!?大丈夫?」

結が心配そうに、上から覗きこむ。

その顔の近さに、俺はドキドキしていた。

そして、

「俺は大丈夫だよ。お前こそ、大丈夫か?」

「うん。私は大丈夫だよ。」

結はそう言うと、少し顔を赤らめ、

「『あの事』は、まだ許せないけど‥‥、雪間くん、助けてくれて、ありがとう。」

そう言って、俺に笑いかけてくれたんだ。

それだけで、俺の胸の心拍数が上がる。

ドキドキがが止まらなくなる。

俺はできるだけ、結に赤くなった顔を見られないように、そっぽを向き、

「別に、お前なんか助けようとしたんじゃないからな。」

そう邪険に言い放つ。

結は、クスクスッと笑っていた。

俺たちは、しばらく、そのままで、そこに座りこんでいたんだ。