その日の放課後、私は、高行と一緒に帰っていた。

実は、高行は『甘党』で、男だが、『スイーツ好き』で、よく二人で、そういうお店にも行っていた。

今日も、例のごとく、私から高行を誘い、お店に行った帰りだった。

だけど、それは『口実』だった。

私は、今日、高行に『告白』するために、二人っきりで、どうしても帰りたかった。

今、私と高行は、河川敷を二人っきりで歩いていた。

隣を歩く高行は、平然とした顔だが、私の胸はバクバクッと激しく鼓動を刻んでいた。

『好きな人に告白する』。

それが、こんなに緊張するものだなんて、思いもしなかった。

「…あっ、あのさ、高行。」

私は、思わず、声が上ずってしまった。

「うん?何、瑠璃?」

高行は、いつもと変わらずの返事をした。

「…私……。私、高行のことが好きなんだけど……。」

私は、思いっきり、勇気を振り絞って、高行に『告白』した。

高行は、びっくりした顔をして、私たちは、しばらくの間、見つめ合っていた。

だが、先に口を開いたのは、高行のほうだった。

「…ごめん……。俺は、瑠璃のことは『友達』以上には見れないよ……。」

そう言われてしまったのだ。

フラれてしまった……。

分かっていたことだったけど、やっぱり、正直、辛くて、胸の奥がものすごく苦しかった……。

たがら、私は、泣き出しそうになる自分を見られたくなくて、

「高行。先に帰って……。今は、これ以上、二人っきりでいたら、辛いから……。」

そう言った。

高行は、心配そうな顔をしていたが、察したのか、

「…分かった……。じゃあ、瑠璃。また、明日。それから、本当にごめん……。」

それだけ言うと、その場を後にして、帰って行った。

私はというと、高行の姿が見えなくなった後、溢れ出す涙が止まらなかった。

私の『想い』は、高行には届かなかった……。

あのまま『苦しい想い』を秘めたまま『友達同士』でいたほうがよかったのか?

いや、『告白』したほうがよかったのだ。

今は、まだ辛いが、きっと高行となら、また、変わらず、『友達同士』でいられる。

そう思った。

その時だった。

ワンッワンッ。

と、犬の鳴き声がしたかと思って、びっくりして、前を見たら、可愛らしい顔立ちをした男の子が立っていた。

黒い犬を連れて……。

(泣き顔、見られちゃった……。)

そう思い、私は、涙を拭うと、その男の子の横をスッと通りすぎた。

その時に、きちんと頭を下げて……。

その男の子は、通りすぎた私をジッと見つめていた。

だが、私は、失恋のショックのことで、頭がいっぱいになっていて、そんなことには気づきもしなかったのだ。