(どうして、春名先輩が、飯沼さと美と……!?)

思い当たるとすれば、一つしかない。

飯沼さと美のその『態度』を見て悟った。

(春名先輩に告白するつもりなんだ……。)

俺は、ズキリッと心が傷む。

『女の子』だから、『好きな人』に『告白』できる。

俺は、正直、うらやましかった……。

『女の子』っていうだけで……。

「ショウ、俺、もう帰るな。じゃあな。」

雪は、春名先輩を見ることもなく、飯沼さと美には目もくれず、そそくさと教室を出て行ってしまった。

教室の中には、俺、春名先輩、飯沼さと美だけが残った。

(…この状況を一体、どうしろと?)

俺は、そう思いながら、でも、俺が教室を出ていかなきゃと思った。

飯沼さと美は、明らかに、春名先輩と二人っきりになりたがっているからだ。

だけど、俺は……。

その時だった。

春名先輩が俺に近づいてきて、

「彰吾、具合、悪いのか?」

そう心配そうに聞いてきた。

「…えっ!?あっ…あの、いや、俺は……。」

そんな様子の俺を見て、春名先輩は、本当に俺が具合が悪いと思いこんだらしい。

「大丈夫か?一緒に保健室へ行ってやる。飯沼、悪いけど、話はまた今度でいいかな?」

「…はい……。分かりました……。」

飯沼さと美は、しぶしぶといった感じで、返事をし、教室を出て行った。

「彰吾。ほら、行くぞ。」

春名先輩はそう言うと、自分の肩を貸そうとしてくれたが、

「いや、春名先輩、大丈夫です。一人で歩けます。」

俺は、そう言うと、春名先輩と一緒に教室を出て、保健室に向かったんだ。

春名先輩と二人っきり……。

こんなのドキドキが止まらない……。