私は、雪間くんのことが、中学時代から好きだった。

『雪間梶』くん。

同じ中学出身ではなかったが、女子たちの噂になっていたからだ。

だから、どんな人なのかと、ちょっとした『好奇心』で、私は、数人の女友達と見に行った。

私は、『片桐ちとせ【かたぎりちとせ】』。

『友達』は少ないほうだが、好花ちゃんとは、特別に仲良くしてもらっている。

『榊原好花【さかきばらこのか】』ちゃん。

可愛くて、ふわふわしたイメージの女の子らしい女の子。

ボーイッシュな私とは、『正反対』の女の子。

だけど、『私たちは仲良し』で、登下校するのも一緒。

学校でも一緒だった。

噂の『雪間くん』とやらを見に行く時、好花ちゃんは、珍しく、

「私、行かないね。ちーちゃん、ごめんね。」

そう言ったのだ。

『ちーちゃん』。

好花ちゃんは、親しみをこめて、私をそう呼んでくれる。

私は正直、嬉しかった。

『雪間くん』を見に行った私は、そのお目当ての人物を見た瞬間、ドクンッと胸が高鳴るのが分かった。

一目惚れしてしまったのだ。

『私の初めての恋』。

だけど、その『恋』は、辛く、苦しいものだった。

どうしても、彼の側にいたい一心で、必死で勉強して、同じ高校に入学した。

だが、好花ちゃんとは、『別々の高校』になってしまった。

親しい『友達』を失ってしまうかもしれない。

そう思ったが、好花ちゃんは、

「高校は『別々』になっちゃったけど、ちーちゃんとは、ずっと『友達』だよ。」

そう言ってくれたのだ。

それからも、好花ちゃんとの『親交』は続いている。


雪間くんは、とにかく、女の子たちからモテた。

同級生からも、上級生からも、とにかくモテた。

私は、焦った。

こんなボーイッシュで、勝ち気な性格の私が、あんなキレイな女の子たち相手に敵うワケもなく……。

雪間くんを、ただただ、見つめているだけだった。

でも、『それではいけない』!!

そう思ったのは、『アイツ』のせいだ。

いや、『おかげ』かな?