今は昼休み。

「おい、結!!」

端正な顔立ちの男の子が私を呼んでいる。

彼の名は、雪間梶【ゆきまかじ】くん。

その顔立ちと、成績優秀、しかも、スポーツ万能ということで、女子たちからモテまくっている。

でも、性格は、意地悪で毒舌家。

だけど、そこがまたいいという女の子たちが後を経たない。

(雪間くんのどこがいいんだか。)

私はそう一人、心の中で呟く。

私が返事をしないので、雪間くんは、業を煮やしたのか、私の席の前まできて、

「おい、結。俺が呼んでるのに無視するなんて、いい度肝だな。」

雪間くんは、そう言うと、

「いつものパンとコーヒー牛乳。」

自分の財布を私の顔の前につき出してきた。

私は雪間くんのその端正な顔立ちを睨んで、

「何で、私がいつも雪間くんの昼ご飯を買ってこなきゃならないの?」

私は反論したが、

「いいから、早く買ってこいよ。」

その強い口調に逆らえず、いつものように、雪間くんの昼ご飯を買いに行く羽目になってしまった。