そんなこんなで、アニメにありそうな、食パンをくわえながら走るシーンを、私は演出していた。


私の家から学校は言うほど遠くない。
だから走れば10分くらいでつく。

「あ、あと少しで学…ふぎゃっ!!」


これは恋愛系のものでありそうな、曲がり角で王子様とぶつかる…!

じゃなくて、

「いったぁ〜…」

「君、大丈夫か?ごめんな」

ぶつかってしまった人の声が聞こえ、チラっと見ると、

「あ、あれ?王子様は…?」


私がぶつかったのは、見ず知らずのおじさんだった。