「おい、梅。どうした?」
「夏樹…。」
「あれ、お前桜か?良かった。いつ変わったんだよ」
「夏樹…、お姉ちゃんが…、お姉ちゃんが…、」
「梅がどうした?」
「お姉ちゃんが…、いないの…。」 
「え?いないってどういことだ!?」
「あの時、やっている最中の時お姉ちゃんが突然言ったの」
『桜、幸せに生きてね…。』
 お姉ちゃんが何故それを言ったのかその時はわからなかった。でも…、今ならはっきりわかる。
「お姉ちゃんはもういないんだ…。2人が来る前にお姉ちゃんが言ってたの。」

『桜、もし私の力が急に失ったらあなたがやるんだよ!』
『え?無理だよ!私そんな力ないもん。』
『大丈夫。私の力を桜に入れたから』
『でも、やっぱり…。』
『桜、あなたはもう子供じゃないんだよ!出来る!絶対、桜なら出来る。私の妹だもの』

「お姉ちゃんは自分の限界まで力を使ってしまった。お姉ちゃんは覚悟を決めていた。だから私と離れることを決心した」
 どうしようお姉ちゃん。目から雫が流れてくる。一粒じゃない。何粒も…、どうして…。苦しいよ…。
「桜…、」
「お姉ちゃんはもうあれじゃ~、わかりづらいよ!あんな別れ方なんて」

『桜、幸せに生きてね』

 お姉ちゃんは最後でもお姉ちゃんだね。
「寂しいな…、最後ならちゃんと言わせて欲しかったな。」
『お姉ちゃん大好き!』
「くっ…、ぐすっ…、お姉ちゃん…、」
 私は目から出てくる雫を何度も何度も拭きました。でも、雫は拭いても拭いても溢れてきてこぼれてくる。
「夏樹…、寂しいよう…、」
 バサッ、
「な、夏樹」
 夏樹は着ていたコートを私に着せ抱きしめてきた。
「大丈夫。お前は1人じゃない。」
「え?」
「何のための友人がいるんだよ。俺だけじゃない。亜紀も健介も一応、五十嵐も皆全員、お前の大切な友人だろ。」
「夏樹…、」
「桜、好きだよ。」
「え?」
「ずっと言おうと思ってたんだ。梅は既に気づかれてたけど」
「お姉ちゃんが…、」
「だから約束したんだ」

『桜を泣かしたら私が許さないからね』
『はいはい、わかってるよ』

「だから梅の約束を守るために俺はお前と側にいる。」
 夏樹は優しく私の唇にキスをしてくれた。
「私も夏樹の側にいるね!」
 お姉ちゃん、今までありがとう。私、お姉ちゃんがきっと生まれ変わると思うんだ。だから、もし私が後からそっち行ったとき、またお姉ちゃんの妹でも良いかな?

「ほら、立て。この女たらし」
「すいません。許してください。」
「もう、その辺にしておいてあげたら高坂君。」
 高坂君は五十嵐君を掴んでいて凄い怒りモードにスイッチが入っていた。
「暴力団が違ったとしてもこいつが女たらしなのは変わりません。桜さんを襲いしかもほかの女まで手を出して」
「五十嵐君は凄い変態な人でしたよ」
 そう言ったのはさっきの男だった。
「梅さんのおかげで少し立ち直れました。」
「これからどうするんですか?」
「とりあえず警察に行きます。」
「え?何で!?」
「あれ?言ってませんでしたっけ?俺、警察官何ですよ!」
「えーーー!?」
「刑務所から出たとき声を掛けてくれた警官がいてね。その時…、」

『お前なら警察官に向いているはずだ。うちを働いてみないか?』

「しかもその時、声を掛けてくれた人、
警察官の社長で」
「え!?凄いじゃないですか」
「うん、だからこれからも困っている人を助けようと思ってね。」
 男はそれを言って行ってしまった。
「夏樹ー、桜さーん。俺たちも帰りましょう。亜紀が心配していますよ。」
「はい。」
「そうだな帰ろっか。」