王国『神和国』の王都・姫泉。
暖かな風が吹き抜ける城の前に、1人の青年と5人の少年少女が向かい合っていた。
青年の名は、神代慎。
18歳にしてこの国の頂点に立つ王だった。
「・・・本当に行くんだな。」
「・・・あぁ」
王の問いに答えたのは、左端に並んだ少年。彼の紫色の瞳には、迷いなどないように見えた。
不安げに笑った王は、中央の少女に目をやった。
「そうか・・・。それならば里雨にリーダーを、咲羽にサブリーダーを任せたい。・・・出来るか?」
「問題ない。」
「努力はするけど・・・」
間髪入れず答える少女と、驚いたように言葉を紡ぐ少年。
対照的な色をした2人の髪が、風で揺れる。その後ろでは黄緑色の目をした少年が里雨の服の裾を握っており、右端に立つ緑の目の少年は黙って話を聞いていた。・・・普段は弱気で大人しい彼らにさえ、迷いや不安は見られなかった。
王は観念したように溜め息をつき、こう告げた。

「霧北里雨、優木咲羽、藤南柊、石見爽輝、和泉翔愛。・・・以上5名の弥岸因幡捜索活動及び姫泉事変元凶の追及を認める。」