その時…

ポンッ


後ろから誰かに肩を叩かれ体がビクッと反応する。振り替えようとするが、ガタガタ震えるだけで動かない。



ぎゅっ



「大丈夫だから…」




言葉と同時に温かさを背中に感じた。大丈夫、大丈夫と言いながら優しくあたしを包む。

心が少しだけ軽くなった気がした…。








しばらくすると、震えと涙も止まり落ち着きを取り戻してきた。

ゆっくり振り替えってみると、先程教室で話しかけてくれた子だった。



「どうして追ってきたの?同情?それともあたしを………利用するため?」




本当はこんなこと聞きたくない…。もし、ここで肯定されてしまったら立ち直れない気がする。

だけど…どこかで期待している自分がいた



「違う」



ドクドクと鼓動が高まっていく


一呼吸置き、ゆっくりと言葉を吐き出す



「じゃ…どうして?」





「貴方と友達になりたかったから」

「……」

「友達になりたいから、心配だから来たの」

「……」

「一ノ瀬美優と仲良くなりたいって思ったから…苦しんでいるなら手助けしたいって思ったの。信用……出来ないかもしれない。あたしが来たのは、さっき一ノ瀬さんも言ったように同情したからでもあるからね」

「同情なんていらない…」

「うん。分かってる。同情される方が辛いって分かってるよ?だけど…一ノ瀬さんが助けを求めてる気がしたから……」

「助け…?」

「うん。その瞳…すごく深い悲しみで満ちてる。」

「……なんで?」

「え?」

「なんでそう思うの?なんであたしが悲しそうだって分かるの?今まで誰も…誰にも気付かれなかったのに」




「理由はないよ」