『利用してただけに決まってるでしょ?』

昔の記憶が蘇ってくる

その台詞が頭に浮かんだ瞬間ブルっと体が震え出す。









ハァハァ…ハァ…っ



気が付けば走っていた。

行き先はどこだっていい

あたしをあの手から逃がしてくれるのならどこにだって

それが例え地獄だったとしても

抵抗出来ないなら場所なんてどこでも同じ

逃げて逃げ続けるしかないのだから











息が苦しくなって思わず足を止める。乱れた呼吸は全く治まらなくて

だけどその苦しさは快感でもあった。

その時のあたしは苦しさ以外知らなかったから

他の感情が分からなかったから



立ち止まった場所を見上げると、皮肉にも化学準備室だった。


「なん…で……こんな場所にっ」



自然と条件反射のように涙が溢れ出す。上手く呼吸が出来なくて、ゴホゴホと
むせてしまう。ガクガクと震える膝に力なんて入らなくて、そのまま地に崩れてしまった。






ここは、中学生だった時女達に連れて来られていじめが始まった場所だった