むせてる咲をよそに、テレビの中の廉は平然と続ける。


「いや、行ってきたけど、もう誰もいなかったよ」


「あれですか?幼稚園と言えば初恋の子とかいたんですか?」


「えっ…?」


江真の質問に、平然と話していた廉も少し照れた顔を見せる。


そんな廉を見て、咲もドキッとする。


「いや…初恋はあったけど、幼稚園の時だったかどうかな…ね?」


濁すような返しをした廉に、すかさず江真は続ける。


「いや、初恋はけっこう覚えてるもんでしょ?俺は覚えてるよ?」


「えっ?マジ?」


「小学校の時の一つ年上のメガネかけた子っ」


「あっ、それなら俺も覚えてるよ~俺はクラスで一番足が速かった子っ」


「なぁ~?」


顔を見合わせて頷く2人に、廉はとまどった様子でいる。