そして咲がゆっくり口を開く。


「廉くん…」


「…ん?なに?」


「ちょっと…聞いて欲しいのっ」


「…うん?」


咲はお茶をテーブルに置いて、廉の瞳を見た。


「私……“鈴宮廉”が好きっ…」


「……えっ…」


「でも…同じくらい、“白石廉”も好きなのっ、
皆も……大好きなのっ、大切にして欲しい…」


「……咲ちゃん…?」


咲はそう言うと、廉にニコッと微笑む。


その笑みに廉は…。


「分かった……ありがとうっ」


それだけ、答えた。


ーー


そして、少し話し終えた2人は時計を見る。


「咲ちゃん…」


「うん?」


「お風呂…もう沸いてると思うから、先に入っていいよ?」


「えっ?あっ…でも廉くんが先に、疲れてるでしょ?」


「あー…うん、じゃぁ先に行って来ようかな?」


「うんっ、行ってらっしゃい」


ニコッと廉を見送る咲。


そして廉がお風呂に入ってる間、
咲はドキドキしながら、夜景を眺めていた。


私…大丈夫だよねー?


そっと胸に手を当て、息を吐く。


そして廉が上がって来た後、廉に用意してもらった部屋着を持って、咲もお風呂へ。


赤い顔で湯船に浸かる咲。


「廉くんの…においがする…」


髪も…身体も……


服も…


着替えた服に袖を通すと、
そっとにおいを嗅ぐ咲。


「廉くんの…におい、落ち着く…」