あの日以来、咲には気がかりな事が、
ふと休憩中、物思いにふける。
「廉くん…車…気をつけてねって…」
もしかして廉くん、
狙われてるって…こと?
そのこと、ずっと…悩んでたのかな?
咲は少し考え込んでしまう。
そこへ、
「お疲れー」
「あっ…望お疲れっ」
「…ん?どうしたの?」
「えっ?あっ…ううんっ」
「なーに?何か悩み事~?」
「いやっ…悩みっていうか…」
「まぁ、相手が相手だからねっ?」
「…うんっ」
望の言葉に薄っすら笑みを浮かべる咲。
相手が…相手かぁ…。
本当に…そうだよね…。
咲は、隅に積み上げられている雑誌の表紙の廉を見る。
ーー
その日の帰り、
咲がバス停から降りると、アパート前の道にまた黒のバンが停まっていた。
「…えっ…あの車…」
咲が少し近づいて行くと、その車はウィンカーを光らせ走って行った。
「…なんで…」
部屋に着いて咲は思った。
もしかして…
私を撮ろうと…してる?
そんな…まさか
でもこないだも私、廉くんの部屋に…。
気に……し過ぎだよね?
でも、
このままじゃ…廉くんの迷惑になる…。