「廉くん、持てる?」
咲がお皿とスプーンを持って廉に聞くと、
廉は少し照れた顔で…。
「咲ちゃん…」
「…ん?」
「お願いしてもいい…?」
「…えっ?」
「……食べさせて欲しい…」
「…えっ!?」
真っ赤な顔で、咲が驚く。
すると、廉は少し潤んだ目で…。
「……ダメ?」
「あっ…えっと…」
「ごめんっ…俺熱にうなされてる…かな?」
「廉くん…」
もしかして…。
これが、拓海くんの言ってた、
“甘えんぼ廉くん”…?
だったら…。
赤い顔でもう一度廉を見る咲。
「だ…大丈夫っ」
「えっ…?」
「私が…食べさせて…みるっ」
「……咲ちゃん、ありがとう」
咲は首を振ると、れんげに一口分のおかゆを取り、手を添えながら廉の口に運んだ。
照れた顔で、廉がモグモグと食べる。
「…どうかな?薄い?」
「…ううんっ、美味しいっ」
ニコッと笑う廉に、咲がホッとする。
「作って良かったぁ~」
そして次々と口に運ぶと、廉が口にしてきた。
「なんか…少し…」
「えっ!?やっぱり薄い?」
「あっ…いや、そうじゃなくって、少し…味が母さんのと似てる気がする…」
「…えっ…」
味が…似てる?
廉くんの亡くなった、お母さんの味に?
「ほ…本当に?」
「うん、何か懐かしいっ、咲ちゃんって凄いね」
「えっ…?私は別に何も…」
廉の言葉に咲は照れる。
そして、食べ終えると廉は薬を飲んで、歯磨きをし着替えることに。