車に乗り、帰り道を走る。


「………。」


なんでだろう…?


行きはあんなに楽しかったのに、
今は…ちょっぴり切ない。


でも、廉くんにそんな顔見せちゃダメっ。


そう思って咲は小さく首を振る。


ーー


そして咲の家が近くなる。


あっ…もう着いちゃう。


「ゴメンね?咲ちゃん、ゆっくり出来なくて…」

「えっ?ううんっ…一緒にいられて嬉しかった」

「本当?良かったぁー…」


廉の言葉に、咲がニコッとする。


これ以上…望めないよ……私。


そして、車が停まる。


「ありがとう…廉くん」


「ううんっ、荷物取るね?」


「うんっ」


そして咲がドアを開け、廉が後ろから出してくれた荷物を受け取る。


「ありがとう…」


「うんっ…じゃぁ、また…」


「うんっ、また…」


「……あっ!写真っ!俺にも頂戴ねっ?」


「うんっ!分かった、次会った時には渡せるようにするねっ?」


「うんっ」


「休み取ってくれてありがとう…廉くん」


「咲ちゃん…」


「仕事、間に合いそう?」


「うんっ、大丈夫だよっ」


「良かった…うん、じゃぁ…また」


「うんっ、またっ」



廉が笑顔で手を振ると、咲も笑顔で小さく手を振った。


そしてアパートの階段を上がると、
通路から廉の車が行くのが見えた。


「廉くんっ…ありがとう、本当に…ありがとう」


素敵な甘い…想い出


でもちょっぴり切なさも感じた想い出…


廉くんとのこんな素敵な想い出が出来て、


私は…幸せだよね…?