「あっ…おはよう?咲ちゃん…」
「…うん、おはよう」
「ゴメンね?俺…遅かったかな?」
少し寝ぼけた廉の声に、咲はドキッとする。
「ううんっ…全然っ、あっ…お茶入れるね?」
「うんっ、じゃぁ俺歯磨いてくる…」
「うんっ」
歯磨きをしに行った廉をチラッと見た後、
咲はドキドキする胸を抑えながらお茶を入れる。
二つの湯呑にお茶を入れて、咲が一息ついていると、ふっ…と後ろから廉に抱き締められる。
「……っ!!」
「おはよう…咲ちゃん」
「お…おはようって、さっき…言ったよ?」
「うん…でも言いたくなった…」
咲がドキドキしながらうつむくと、
廉の少し落ち着いた声が聞こえてくる。
「帰る支度…しよっか?」
「……あっ……」
…そっか?
もう…帰らないと、
廉くんは仕事があるんだから…。
咲は小さくうなづいた。
「うん…そうだね?」
そして2人は帰る支度をして、旅館を出ることに。