なぜなら、
廉の横顔の瞳は、少し細めながら
…遠くを見ていた様だったから。
海でも空でもない、
もっと遠くを見てるような、
悲しそうな瞳でもないその表情に、
咲はとまどう。
「…廉くん…?」
小声でそう言うと、咲は動けずにいた。
すると廉が咲の姿に気づき、
さっきまでの笑顔を向ける。
「咲ちゃん、ありがとうっ」
「……あっ、うんっ」
廉の笑顔に咲も少し笑顔で廉の元へ寄る。
そして、ジュースを一つ廉に渡す。
「はいっ、廉くん」
「ありがとうっ」
廉の言葉に笑顔で首を振ると、
咲は廉の隣に座る。
廉は少しゴクゴクとジュースを飲むと、
一旦蓋を閉めて再び海を見た。
「俺…こんなにゆっくり海眺めたの久々かも…」
「…うん、私もかな?」
そう言って咲も海を見る。
そんな咲の横顔を見る廉。
「咲ちゃんと来られて…良かったな」
廉の言葉に咲も廉を見る。
「…廉くん…」
2人は少し見つめ合う。
廉くん…
私、あなたのその綺麗な瞳に、
吸い込まれそうだよ…
でも、
それでも……いいかも。