咲は位置決めの為、海をバックに浜辺に座る。


「咲ちゃん、もうちょい左かな?」


「左?うんっ」


「うんオッケー!じゃぁタイマー行くよ?」


「うんっ」


咲は少しドキドキしながら髪を整える。


「じゃぁ、行きまーすっ、10秒前10…9…」


数を数えながら、廉は咲の左隣に座る。


「せーので“海ー”ね?口角上がるでしょ?」


「えっ?うん、分かった」


「4…3…」


すると、廉が咲の左手を握る。


「…えっ…?」


一瞬ドキッとした咲だが、廉が笑顔で
「せーのっ」と言ったのを見て、
咲も慌てて前を向き、2人で…


「海ーー‼」


パシャとシャッター音が鳴る。


「撮れたかな?」


そう言って廉が手を離し、立ち上がる。


「うん…どうかな?」


咲も少し照れながら廉の近くに行く。


廉はカメラを操作しながら、


「あっ!撮れてるっ、どうかな?」


「あっ…うん、けっこういい感じかも」


「ねっ?海ー!が効いたよね?」


「あははっ、うんっ」


廉の笑顔に嬉しくなる咲。