そんなスタッフに向ける廉の笑顔を、隣にいた比奈は見つめていた…。


ーー


そして、控え室に戻ろうとしていた廉に比奈が声をかける。


「廉っ」


比奈の声に廉が振り返る。


「ひぃ、どうした?」


「あのさっ…」


少し言いづらそうにうつむく比奈。


「…ん?」


「ちょっと…いい?」


「えっ…?」


「大事な話があるのっ…今、廉と話したいっ」


「…ひぃ…」



比奈の真剣な瞳に廉は少し驚く。


すると、近くにいた廉のマネージャーが廉に声をかける。


「廉くん、少し控え室で待ってて下さいっ」


「あっ…ちょっと待って?」


「えっ…?」


「ゴメン…これ控え室に置いといてくれないかな?」


そう言って廉は手に持っていた花束をマネージャーに渡した。