「そんな、明日って…」
マネージャーが心配する中、比奈は真剣な声を発した。
「とにかく、ダメなのっ…ここから離れるわけにはいかないのっ……ちゃんと、走ってみせるからっ」
「比奈っ…」
その時、廉が扉をノックした。
「はいっ?」
「廉ですけど…」
「あっ…白石くん?」
廉はそっと扉を開いた。
「あっ…ひぃは?」
「それが…」
マネージャーはチラッと比奈の方を見る。
廉が奥を覗き込むと、比奈は一番後ろの座席で左足のひざにシップを貼って足を伸ばしていた。
すると、比奈が廉の視線に気づく。
「あっ、廉っ」
笑顔の比奈に、廉は心配そうな顔をする。
「あっ…ひたちゃん、そういう事だから監督に伝えてきてもらってもいい?」
「あっ…はい、じゃあちょっと伝えてきます、じゃあ…白石くん、比奈の事少し見ててもらってもいい?」