そして、時刻は10:30。
勤務終了時刻になった私達は、身支度を済ませて望と一緒にお店を出た。
裏口から出て、バス停に向かう為、お店の正面前を通ると、
「……えっ…?」
私が気づいたのは、見覚えのある車が店の前に止まってる事だった。
私が立ち止まると、車の中から黒い服に帽子を被った人が降りてきた。
その立ち姿を見て私はドキッとする。
「…どうしたの?咲?」
「えっ!?あっ…いや…」
「んんっ?」
その男の人は、こっちを見てお辞儀をした。
私の目線に気づいたのか、望も男の人を見る。
「……あっ…」
どうしよう…?
望気づいたかな?
Retのファンだし。
私が少し不安気に望を見ると、
「なーんだ、デートだったんだぁ~?咲っ」