「じゃあ、詳しいことはまた、近くなってきてからだね?」
「うんっ」
「行きたい所があったら考えといて?」
「行きたい所?…うんっ、分かった」
「やった、楽しみだなぁ―」
「うんっ」
2人は微笑みながら、しばらく話していた。
ーー
そして、しばらくして、
咲が時計を見て立ち上がった。
「じゃあ…廉くん、私そろそろ…」
「あっ…本当だ、もうこんな時間だね?じゃあ家まで送るよっ」
そう言って廉は上着を羽織って立ち上がった。
「あっ…待って?廉くん、いいのっ」
「えっ?いいって?」
「まだバスあるから、私一人で帰れるよっ」
「えっ!?でも、俺送るよっ」
「ううん?最初からそのつもりだったの、廉くんが家にいれば少しでも早く休めると思って…」
「……咲ちゃん」
「だから…ね?私なら大丈夫、バスで帰るね?」