優しい人…。


私が見たいと思って…。


咲が夜景を見てると、窓ガラス越しに廉の姿が真後ろに見えた。


「……えっ……」


すると、廉は後ろからぎゅっ…と咲を抱き締めた。


「………っ!」


うそっ…?


動けないっ…。


「ごめんっ…」


「えっ…?」


「夜景もいいけど…俺の事も見て…?」


「……っ…」


廉の言葉に、咲は真っ赤になる。


「ご…ごめんっ…」


「いやっ、俺も…ごめん、なんか…変な嫉妬したっ」


そう言って、廉は更にぎゅっと抱き締めた。


「廉くんっ…」


「……好きだよっ」


「……えっ?」


廉の言葉に驚いて、廉の方に咲が振り向こうとすると…廉はそれを遮った。


「いや…恥ずかしいから、このままでいて?」


「あっ……うん…」


咲は廉の腕にそっと手を置いた。