「…えっ…?」
“もしかして”…?
咲がドキドキしながら、廉をもう一度見ると。
「あっ……いやっ…なんでもっ…」
廉はその手で自分の首元を掻いた。
「……そう?」
2人は視線をそらし、ゆっくり前を向いた。
仕方…ないよね?
すると、咲の後ろから子供が勢いよく走って来て咲にぶつかった。
「きゃっ…」
ぶつかった勢いで、咲は廉の胸にぶつかる。
ふいに咲の肩を抱く廉。
2人はそっと顔を見合わす。
「……っ!!」
ハッとして2人は離れる。
「…ごめっ…」
そう言って咲が視線をそらそうとすると、廉が咲の手を取る。
「えっ…?」
「あっ…えっと、こっち…」
そう言って廉は、咲の右手を掴む自分の手と一緒に、上着ポケットに手を入れた。