「……“この人”…って」
廉は咲を見た。
「……星野…咲さんのことだよ?」
「……っ!?」
「でも“理由”にしててゴメンっ」
咲に向かって頭を下げる廉。
「えっ…そんな、謝らないで?廉くんっ」
そう言って、廉の肩を触った咲の手を取る廉。
「えっ…」
そのまま両手を握り締められる。
2人は自然と見つめ合い…。
「咲ちゃんといると俺…普通の“鈴宮廉”に戻れる気がするんだ…」
「……“戻れる”?」
「うん、俺……好きな人がいるんだっ」
「えっ…?」
“やっぱり”…?
廉の言葉に少しうつむく。
すると、廉が再度口にした…。
「星野……咲さんが………好きですっ」
上からの廉の声に、ゆっくり顔を上げる咲。