「ありがとう、嬉しいっ…」


咲が紙袋の中を見ると、一つだけ包装紙に包んであるチョコがあった。


「……?これは……」


咲がそのチョコを取り出すと、廉が少し慌てた様子になる。


「あっ……それはっ…」


「……廉くん?」


「実は…こないだ渡そうと思って…」


「こないだの“渡したいもの”って…チョコ?」


咲の言葉に廉は少し照れて、軽くうなづいた。


も……もしかして、


ホワイトデー?


でも、あの日は3/15日だし?


それに、私はあげてないし…。


特に、意味はないのかな?


咲が考え込んでいると、廉が口を開く。


「なんか…ヘアメイクさんから聞いて、そこのチョコ美味しいらしいからっ…て」


「そうなんだ…?嬉しいっ、ありがとう」


「ううん…たいしたもんじゃないし」


「そんな事ないよっ、ありがとう」


咲が笑顔で廉にお礼を言うと、廉は咲の笑顔に少し照れてしまう。