そして車は咲のアパートへ着いた。
返答に困った咲が車から降りようと、ドアに手をかける。
「星野っ、俺は…本気なんだぞ?」
笹原の言葉に、咲が振り返る。
「…えっ…?」
“本気”って…?
咲は少しとまどった表情をしたが、ドアを開けて車から降りる。
「すみませんっ…お疲れ様でした…」
ドアを閉めて、走ってアパートへ向かった。
笹原はそんな咲を、複雑な気持ちでただ見つめる。
そして部屋のドアを開けて中に入る。
少しの間、笹原の言った言葉の意味を考えていたけど、咲はハッとして携帯を取る。
「そうだ!廉くんっ」
せっかく待っててくれたのに…。
《待っててくれたのに、今日はごめんなさいっ》
とメールを送る。
すると、廉からの返信がきた。
《咲ちゃんが謝ることないよ、俺の方がゴメンね?》