「笹原さんっ」


咲の声に2人は振り向いた。


「あのっ…パソコンもカギも大丈夫でした…」


そう言って咲は笹原にカギを渡す。


「あ―…サンキュ」


「いえ…」


と、咲は廉をチラッと見る。


2人は何か話してた様子…?


「あのっ…」


咲がそう言いかけた時、


「それじゃ…俺は失礼しますっ」


頭を下げて、廉は車に戻る。


「えっ…!?廉くっ…」


名前を呼び掛けた所で、咲は止まった。


笹原が気づいていないかもしれないと思った咲は、廉の名前を呼んで呼び止める事が出来なかった。


黙って廉の車を見送ることに。


廉くん…


うつむく咲の手を、笹原が突然握る。


「帰るぞっ、星野っ」


「えっ!?あっ…でも、私ホントに一人で大丈夫ですからっ…」


「いーから礼はさせろっ、貸しは嫌いだっ」


「別に…チョコを貸しなんて思わなくても…」


「うるせっ、本命もらうまで貸しって言ってやるっ」


「そんなっ…」


なんて無茶苦茶な…。