「そうだ、星野っ」


「えっ…?」


「俺、裏口ちゃんとカギしめたのか分かんねーな?ちょっと見てこいっ」


「えっ!?」


「あっ…それから、パソコンもちゃんと消えてるのか見てこいっ」


そう言って咲に鍵を渡す笹原。


「え―っ!?そういうのは笹原さんが見に行った方がいいんじゃ…?」


「いーから行ってこいっ」


笹原に強引に背中を押され、咲は少しとまどいながら、廉に少し目で“ゴメンね”と合図すると、店の裏口に走った。


どうしよう…?


笹原さん…“廉くん”って気づいたかな?


2人にしちゃうのは…
笹原さん、何か言うつもりじゃ…?


そんな咲の心配の中、2人になった廉と笹原。


廉は少し考えた末、その場から立ち去ろうとする。


「俺は……失礼します」


笹原に頭を下げて、廉が車に戻ろうとする。


「……いいんですか?帰って?」


「えっ…?」


「彼女を待ってたんじゃ…?」


「あっ…いえ、俺が一方的に待ってたので、先に予定があったならっ…」