…だって、外に廉くんが!
「ダメだ、予定なんかキャンセルしろ?もしくはその約束の場所まで送ってやるよっ」
「いや…あのっ……本当にっ……」
断り続ける咲を気にもせず、笹原は強引に咲の腕を掴み店を出ようとする。
「ちょっと…笹原さんっ」
ウソでしょ―!?
どうしよう―!?
このままじゃ…
咲が心配しながら外に出ると、笹原が一旦手を離した。
「車回してくるから、ここで待ってろ?」
そう言って、笹原は車を取りに行く。
少しホッ…とした咲は、今のうちに廉がホントに待ってるのか確かめに行く事に。
店の正面の方へ走ると、
「あっ…」
咲の視線の先には、やはり廉の車が。
本当に待っててくれたの? 廉くん
でも、どうしよう?
廉くんに断る?
でも
咲が迷っていると、ミラー越しに咲の姿が見えたのか、廉が車から降りてきた。
帽子だけ被った廉が、咲の方へ歩いてくる。