廉は少し複雑な表情でうつむいた。
「……ゴメン、何でもない」
「えっ…?あっ…そうなんだ?」
何か、言いかけた気がしたけど。
「俺…」
「えっ…?」
「あっ…いや、俺…考えなしな所があるから」
「考えなし…?」
「ゴメン…変な事言って、やっぱり何でもないっ……行くね?」
「あっ……うん、今日はありがとう、おやすみなさい」
「おやすみっ…」
廉は軽く手を振って、車に戻って行った。
廉の車を見送り、咲も部屋に戻る。
廉くん…何言いかけたんだろう…?
でも、きっと、
聞き返さない方がいいような気がしたのは…
なんでだろう…?