「ねぇ、咲ちゃんっ」
「えっ?なに?」
「7……いや、全部外したら…」
「えっ…」
「この後、夕飯一緒に食べてくれる…?」
「えっ…?……うんっ」
「よっしゃ、頑張ろうっ」
再度気合いを入れて、廉は前を向いて構えた。
「…廉くん…」
咲はドキドキしながら見守る。
そして、廉が投げた!
「あ~クソ―」
廉の声と共に外れたのは、2番だった。
そして、残り1球。
残ってるのは、咲が言った7番だけ。
「廉くん…」
ネット裏で咲が両手を合わし、
そして最後の1球を廉が構える。
「絶対……当てるっ」
咲に聞こえない声で、廉はボソッと呟いた。
そして7番を見て、廉が投げたっ。
――バンッ!
「……あっ……」
ストラックアウトボードには、もう全ての番号が無くなっていた。
「うそ……すごいっ」
驚く咲の前に、嬉しそうな顔の廉が中から出てきた。