裏口のドアを出て、すぐそこにあるベンチに咲は座った。


カバンから携帯を取出し、時刻を見る。


「10:15分か…」


まだ廉くんからの連絡はないな。


まぁ、いいや。
明日は休みだし、なるべく待ってよう!


咲が待っている間に、数人の従業員が「お疲れ―」と通り過ぎていく。


そして、10:23分。


咲の携帯がピコンと鳴る。


「メール…?」


中を開くと、


《咲ちゃんゴメン!

もうちょっと遅くなりそう…寒いから待ってないで、家に帰ってて?

俺、終わったら寄るから》


「……えっ…?」


そっかぁ

遅くなるんだ…。


忙しいんだね…やっぱり。


咲は携帯の画面を消す。


そして、冬空を見上げた。