そして10:00。
終礼も終わり、みんな裏口に歩いてく時。
「星野っ」
笹原に呼ばれた咲がビクッとして振り返る。
すると笹原は咲に向かって手を差し出した。
「俺にチョコはっ?」
「……なっ!?だ…だからないですって、さっき皆からの渡したじゃないですかっ」
「チッ……マジかよ~」
少しすねた顔をする笹原に、咲は飽きれる。
「あの…私急いでるんで、失礼しますっ」
笹原に頭を下げて咲は裏口に向かった。
そんな咲の後ろ姿を、笹原は見ていた。
そして、ロッカールームで咲は支度をする。
「今日は捕まるわけにはいかないよ―」
そう言って鏡を見ながら髪をとく。
「お疲れ様で―すっ」
従業員と挨拶を交わして、咲はお店の裏口に出た。