なんて事を思っていると、気づけば笹原は咲の後ろのドアに手を付いていた。


「…なぁ?」


「……っ!?」


ちかっ…!!


笹原の近さに、咲は思わず視線をそらす。


「俺だったら…おまえの全部受け入れられるぜ?」


「だから……冗談はやめて下さいっ…」


「まだそれ言う?じゃあ…こう言えよ?」


「えっ…?」


「“私には好きな人がいるから”…って」


「……っ!?…それは…」


咲の手に少し力が入る。


「……いません」


「えっ…?」


「私には…好きな人なんていませんっ」


咲の言葉に笹原はドアから手を離し、飽きれた顔をした。


「はぁ―…強情っ」


「とにかく!失礼しますっ…」


笹原に頭を下げて、咲がドアを開けると、


「星野っ!」


「……っ!」