「はぁ―…」
あれ以上笹原さんと一緒にいると、心の中ぐちゃぐちゃにされそうな気がした。
なんなの?あの人。
人の事からかったり、
心の中覗いたり。
でもやっぱり、
年上の男の人には…私、 見透かされてる?
本当にバレバレなのかな?
そんな事を考えながら、咲は店内に戻った。
そして、
その日の仕事終わりのロッカールーム。
「でもさっ、私考えたんだけど」
「何を?」
「やっぱり…何も返さないのはマズイんじゃないのかな?」
「えっ…?何で?」
「だってほら咲、コンサートのお礼とか何かしたの?」
「えっ?コンサートのお礼…」
そうだっ!
せっかく招待してくれたのに、何も返せてないっ…。