「あのっ…笑ってないで変な冗談はやめて下さい!」


「あ―?」


「そういのは、彼女とかからもらったらいいじゃないですかっ」


「彼女?今、いねーもんっ」


さらっと、そう言ってきた笹原に咲は一瞬引く。


「そ…そうですか…?でも、別に私からじゃなくても…会社からもらうじゃないですかっ」


「だから、本命がいいって言ってるだろ?」


「だったら、なおさら話がおかしいじゃないですか!」


私は、いつから笹原さんの事を好きになったのよ!


咲が心のなかでそう叫ぶと、


「あ―…そっか、そうだよな?おまえ、好きなヤツいるんだっけ?」


「……っ!?」


この人は、
どれだけ会話聞いてたのよ!?


笹原の言葉に、戸惑いながらも咲は平然を装った。


「ち…違いますっ、好きな人なんていませんし……チョコもあげません!」


咲がそう言い終えた時、笹原が肘を付いて咲の顔を覗き込んでいた。