『ところで、なぜノアを捜しておったのじゃ』


首を傾げて僕に問いかけるおじいちゃん


「彼女が勇者であることは知っていますよね?」


一応初対面だから敬語にしておく
頷いたのを確認して話を続ける


「この世界には絶対の決まりがあるのです。知らない人も多いとは思いますが…」

「ほう」


興味深そうに頷きおじいちゃんはヒゲを触り始めた


「それは、魔族との戦いの際には必ず1人は勇者が出動するというものです」

「知らんかったわい…だが、なぜ、勇者が?」

「それは、僕にも分かりません…僕の父が勇者一行に加わって魔族と戦ったことがあるので聞いてはいましたが」


父さんの話では勇者は皆とっても強いらしい。洗練された動きにすばやい判断力に発想力。何をとっても敵わない…と天使族の中でも強かった僕の父さんは言った。だから、


「この国を救う為には勇者がいないと駄目なんです。どんなに僕や他の人が頑張っても…勇者がいなければ…」