第三クォーターに入ると、流れは完璧に西高のものになっていた。


「向こうディフェンスのフォーメーション変えてきたみたいだけど、逆にそれで穴が開いちゃった感じがするな」


隼人くんはそう言うけど、早い試合展開を目で追うのに精一杯なわたしは、どこがどう違うのかわからなかった。


それを察して噛み砕いて説明してくれたから、なんとなく流れがつかめた気分になるから単純かもしれない。


だけどお陰で集中して見れたから、応援にも熱が入るし隼人くんと一緒に応援してることも楽しかった。


市ノ瀬くんは対峙したディフェンスをフェイントで左に抜いて、ドリブルをして走る。


「行けっ!」と拳をつくった。


だけどまたディフェンスが壁をつくる。


市ノ瀬くんはそこでシュートした。ボールは綺麗な放物線を描き、吸い込まれるようにゴールネットを揺らした。3Pシュートが決まった。


「やったー!」と、さっきまで小さかった喜びの声はいつの間にか大きくなっていて、


驚いたのか隼人くんと目があい、熱くなってる自分がちょっと恥ずかしくなった。