慌てて俯く。


ボールを手渡そうとすると、実咲ちゃんが


「羽麗!あっちの花壇手伝ってくるからねーっ!」


と、大きな声で呼びかけたから顔をあげて横を見てしまった。


目の前の男の子に「うるる?」と、何故か聞き返される。


彼を見ると、目があった。


頭が真っ白になり、何も言えないでいると、ぶっと吹き出した。


絶対、わたしの名前で笑った。


「いや違う違う」


察したように否定するけど、それだけでわたしの名前がキラキラしてますと肯定されているようなものだ。


「バカッ!」


と、わたしはバスケットボールを思い切り彼に投げつけていた。