「高塚」


久しぶりの呼び方に、わたしは胸が震えた。


隼人くん。


隼人くんだ。


「大丈夫?」


「う……うん」


「さっき掃除の後、ドア閉めて来たこと思い出して。ごめん」


「う…ううん」


顔を見れなくて、そのまま真っ直ぐ教卓に向かって歩く。


ノートを置いてから、ようやく入り口を見た。


もういなかった。


何か忘れ物があったとか、用事があったから戻ってきたんじゃないのかな。


なんで?


ドアを閉めたから。それだけの理由でわざわざ戻ってきたの?


あ……親切で開けてくれたのに、お礼言ってない。